9人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
しかし、
今日に限っていつも返ってくるはずの返事はなかった。
現時刻は5時過ぎ。
母さんはいつも朝早くから食品関係の仕事をしているんだけど、
この時間は決まって夕飯の支度をしているはず……。
胸騒ぎを覚えた僕は、
あえて大きめな声で台所に向かって言った。
「母さん、ただいま!」
だけど、
やはりうんともすんとも言わない。
普通なら僕がこんなに大きな声を出した途端、
『やかましい!!』
というばあちゃんの一言が返ってきてもおかしくはない。
嫌な予感を感じた僕は、
駆け足気味に居間に向かった。
すると、
丸い卓袱台の上に置かれた1枚の手紙が僕の目に留まった。
最初のコメントを投稿しよう!