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病院の受付でばあちゃんの所在を確認したところ、
緊急治療室で今もまだ治療中とのことだった。
僕は形振り構わずその1室へと急いだ。
-こんなに必死になる自分は何年ぶりだろう-
そんな言葉が脳裏を駆け巡ってやまない。
今はそんな場合じゃないのに。
通りすがる幾人もの患者さんたちの横をすり抜け、
ようやく緊急治療室の扉の前に辿り着いた。
ぜぇ、ぜぇと両手を膝に当てて、肩で息をする。
気持ちばかりが焦って、上手く足が動かなかった。
……だが、室内から聞こえてくる一介の言葉が、
僕の心臓を更に波打たせることになる。
「……このケースは、非常に危険な状態です。
たとえ今意識を取り戻したとしても、もう先は長くはないでしょう」
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