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「ばあちゃん!?」
中に入った僕は、
診療台の上で死人のように横たわるばあちゃんの所に真っ先に向かった。
そして、すかさず枯れ木のようなばあちゃんの手を強く握る。
「京介……来てくれたの」
僕の反対方向でばあちゃんの手を握っていた母さんが、
ばあちゃんの顔に視線を預けたまま言う。
「いったい、どうしたっていうんだよ……いきなり 」
僕はこぼれそうになる涙を必死に堪えて、
精一杯に強がってみせた。
悲しむ姿を、家族には見せたくなかった。
「京介……。お義母さんは、心筋梗塞で倒れて、合併症の心不全を起こしてしまったの。
こうなってしまえば、助かる望みはほとんど……ないんだって……先ほど……先生に……」
最後の方はもう、
言葉になっていなかった。
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