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自室に戻った徹志は、iPodを取りだし、聞き出した。聴いているのは、チャイコフスキー。
徹志は自分を正したり、心を落ち着けたりするときは、決まってクラシックを聴くのであった。
ベットに横になり、天井を見上げながら、徹志は考えていた。
伊織の事。
旅の事。
そして、ついさっき会ったあの子の事を。
いつしか眠りに着いていた徹志は、空腹で目が覚めた。
ムクリと起き上がった後、少しボーッとしながら食堂車に向かった。
食堂車は、家族連れやバックパッカーで賑わっていた。
時計に目をやると、指針は19時45分を差していた。
メニューを見て、ドライカレーを注文した徹志は、空席がないので、一人のバックパッカーに声をかけた。
「すいません。相席いいっすか?」
バックパッカーは、同年代であろう徹志を見ると快く承諾した。
バックパッカーはジョーと言い、どうやら父親がアメリカンのハーフとの事だ。
彫りが深く、整ったその顔はモデルでも通用する程のイケメンであった。
話してみると、中々面白いヤツで、徹志はジョーの事を気に入っていた。
ジョーは、アメリカから単身渡り、日本をスタート地点にアジアを横断するんだと、徹志に話した。徹志は、自分も日本縦断する事を話し、ジョーに一緒に行動しないか?
と提案した。
「徹志、それはとてもNiceアイデアだよ。二人で旅をしたらきっと楽しいだろうね。でも、俺は一人で旅をすると故郷のフィアンセに誓ってきたんだ。徹志もそうなんだろう?すまないが、その提案は受けれない。」
ジョーは、自分は強い意思の元、やって来た事を徹志に話した。
徹志は、ジョーに尊敬の意を表し、連絡先だけ交換しようと言った。
ジョーはそれなら全然構わないと良い、徹志と連絡先を交換した。
互いの旅の成功を願い、二人は食堂を後にした。
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