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自室に戻り、日記にペンを走らせていると、ドアをノックする音が聞こえた。
(誰だろう?…もしかしてジョーかな。)
徹志はジョーが訪ねて来たのかもしれないと、ドアを開けた。
そこには、ジョーではなく玲奈が立っていた。
徹志が拍子抜け、驚いていると、玲奈がじっと顔を見つめ、口を開いた。
「あの、売店ではすみませんでした。あたし、凄く失礼な事言っちゃいましたよね……。どうしても誤りたくて訪ねちゃいました…。」
そう言って徹志を見つめる玲奈は、女の子特有のウルウルした瞳で見上げていた。
徹志は、全然気にしていなかったのにワザワザ言いに来た玲奈をなんて健気な子なんだろうと思い、部屋に招き入れた。
玲奈はコクりと頷くと、徹志の部屋に入っていった。
列車は、夜のトバリを走り抜け、一路、終点の函館を目指し走り続けていた。
ある個室では、一眼レフのレンズを磨くジョーの姿が…。
また、ある部屋では家族連れであろう、子供達がベットの上ではしゃいでいる。
徹志の部屋はというと、カーテンが閉められ、灯りも消えていた。
それぞれの、思いを乗せて列車は走り続けた。
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