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走り出した列車の中、徹志は自分の個室に入り、旅の日記を書いていた。
手帳の傍らには伊織の写真を忍ばせている。
ふと、喉が渇いた徹志は売店がある車両に向かうため、車両図に目を通した。
「売店は……五両目か…。」
そう言うと徹志は財布を片手に部屋を後にした。
移動中、車両の窓から見える景色にワクワクしながら売店に向かった。
売店に着くと、思ってた以上に品揃えが良いことに驚きながら、コーヒーを手に取った。
コーヒーを手に振り替えると、目の前に女の子がいてぶつかりそうになった。
あっと驚くも束の間、その女の子が口を開いた。
「あ!駅のイケメン…」
徹志がキョトンとしていると、女の子はハッとして続けて話し出した。
「あ、ほら、朝にあたしがぶつかっちゃって…その…チケット落とし……あの時はすいませんでした!」
豪快に頭を下げた女の子は、勢い余って近くの商品をひっくり返してしまった。
ワタワタしながらすいませんを連呼し拾う姿に、徹志は笑いながら手伝った。
「大丈夫?朝の事は覚えてないけど、今のはインパクト強すぎ!君…天然でしょ?」
女の子は徹志にそう言われると顔を真っ赤にして俯いた。
「オレ、徹志。君名前は?これも何かの縁だし少し話さない?」
徹志は女の子の分も飲み物を買い、売店の隣の談話室に腰かけた。
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