13人が本棚に入れています
本棚に追加
談話室に腰かけた女の子は、俯いたままだった。
よく見ると二重瞼に長いまつ毛。髪の毛を綺麗にお団子に纏めたその子はとても可愛らしい顔をしていた。
徹志はニコリと微笑むと飲み物を差し出し話しかけた。
「はい。コレどーぞ!一人旅?デカイキャリー持ってたよね?オレも一人旅でさぁ。えっと…」
「…玲奈です」
徹志が呼び名に困っていると、女の子はポツリと言った。
「コレ…いくらですか…。」
玲奈は、自分の財布を取り出して聞いてきた。
「玲奈ちゃんか!いいよそれくらい。奢るよ。」
徹志はお金を払おうとした玲奈に言い、自分のコーヒーに口を付けた。
玲奈はチラリと徹志を見上げ、飲み物に口を付けた。
「…駅に一緒に居たの彼女じゃないんですか?一緒じゃないんですか?良いんですか、こんなことして。彼女怒りますよ…。」
玲奈は俯いたまま立て続けに言った。
「ん?ああ…あんまし良くないよな。怒られるなぁ!黙っててな?」
徹志は笑いながらそう言うと、コーヒーを飲み干し席をたった。
「じゃあ、お互い気を付けて旅しよーな」
徹志はヒラヒラとてを振り自室へ向かって去っていった。
徹志を見送った玲奈は、一言呟いた。
「……あたし、旅じゃないし…。」
そう言うとオモムロに携帯を取りだし、メールを打ち出した。
【接触完了】
送信………
最初のコメントを投稿しよう!