初カレ

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「えぇ゙---っ!!! 武君、朱音と付き合ってたん?」 そろそろ帰ろうか。 と教室の後ろのドアから出ようとした。 武とは、いつも学校近くの公園で待ち合わせして一緒に帰っている。 その時に教室がいきなり盛り上がったからびっくりした。 「いつから、いつから?」 「ショック...なんで朱音なん?」 武の周りに集まっている子は好奇心や落胆を隠せないでいた。 そういえば、武ってモテるもんな--... 頭はクラスでも下から数えた方が早いぐらい悪かったが、 少林寺と剣道を小さい頃からしていたから 運動神経はかなりよかった。 クラスの中でも、ムードメーカーで 顔立ちも少しやんちゃで でも、確かに綺麗に整っていた。 モテるのも分かる気がする。 「てか、朱音もなんで黙ってたんよ!!」 教室を出ようとしていたあたしの周りにも何人か集まって来た。 ふと、武の方を見ると ケラケラと笑っている。 『別に、隠してた訳じゃないんやけど...』 あたしがそう言うと 武が近付いてきてあたしを自分の方に引き寄せた。 「と、言うわけで。こいつ俺のやから、誰も手だすなよ?」 その瞬間教室中が沸き上がった。 武はそれを気にすることもなくあたしの手をひいて 教室を出ていった。 「...」 『...』 2人とも何も話さなかった。 幼馴染みの時は何も話さなくても全然平気だったけど 今は少し気まずかった。 そんな沈黙を破ったのが武だった。 「俺んち、遊びにくる?」 武を見ると、頬が夕焼けねように赤く染まっていた。 『ごめん...行きたいけど今日、塾なんよ。』 そう言うと武は少し驚いた表情になった 「朱音、塾行ってたんやぁ」 『うん、一応ね(笑)』 そっか、と武は呟いた、 「じゃぁ、家まで送るっ!!」 そういって振り向いた武の笑顔に 少しだけ、ほんの少しだけ ドキッとした。 .
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