わたしとネコ、と悪魔

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わたしとネコ、と悪魔

 別に、特別なことだとは思っていませんでした。たとえば人身事故――より具体的に言ってしまえば自殺――があったとしても、電車が止まってしまいホームルームにぎりぎり間に合うかどうかの私の遅刻が確定的になるだけです。  生前に関わりのない高校生達(制服を見る限り私と同じ高校に所属しているようです)が自殺者を罵ろうとも仕方のないことなのでしょう。むしろこの事象に関心を持つだけまだマシとも取れるかもしれません。  人が一人死んだ、という事実はこの程度の影響しかもたらさないのです。  思ったよりも待ち時間は短く、運行は再開しました。運行予定が人の死を考慮することはありません。ただ狂ったダイヤを修正するだけでしょう。 ――他者の死は些細な事です。
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