852人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
きっと俺を探す西条に出会って、探すのを手伝ってたとか、そんなオチだろう。
西条が困ってるから、協力する。
もう俺の中では定型文になりつつある言葉だ。
貴方もそうでしょう?三崎先輩…。
勝手にそう結論付けて、俺は西条に視線を戻した。
俺の予想より驚きを露にする西条に、俺のほうが驚いた。
西条の頭の中には、こんな可能性は微塵も浮かんでこなかったんだと思うと、やりきれなかった。
本当になんの理由もなく俺が、かつての友たちが離れていったとでも思っていたんだろうか?
自分に非はないのにどうしてだと思っていたんだろうか?
これは、こうなった原因は、元凶は、なんなのだろう?
全て西条が悪いわけじゃない。決して。
だけど、皆自分を守ることで精一杯なんだ。
西条が悪くなくても、西条から離れればこの苦痛から逃れられるのなら、その選択を選ぶのは、悪いことじゃないだろう?
痛む体を起こし、慌てるクラスメートの横を通り過ぎる。
思いっきり睨まれて、結局何をしても俺が悪者なのかと、溜息が出そうになった。
煽るだけだろうその行為は何とかうちに留めて、西条の元へ。
未だ驚きに見開く両目にキラキラとした涙が浮かび、今度は苦笑いが出そうになった。
どこまでも加護欲を煽るのがうまいんだな、と思ったから。
.
最初のコメントを投稿しよう!