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「テメぇ、喧嘩売ってんのか?」
「ぐっ!!」
だからこそなのか。クラスメートは我慢できないと言うように、拳を振るう。
疑問形で言ったことの答えは求めてないらしく、俺は思いっきり殴られた。
今日もやっぱ服で隠れるところが中心か、なんて。
浮かんだ能天気なことも、彼の次なる攻撃で消えて行ったけれど。
痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!
それしか頭に浮かばなくなってきた頃に、クラスメートの攻撃はやっとおさまった。
というより、止めざるを得なかった。
西条が、来たから。
おせぇ、と頭の中に浮かんだ文字も口を開くとうめき声に変わりそうで、俺は視線だけをそちらに向けた。
あの後、俺を追おうとした西条はやっぱり取り巻き達に阻止され、抜けだした頃には俺はどこにいるか分からず。
いろいろと探し回って、今になってようやく発見、と。
諦めて帰らなかっただけでも、いい、んだろうか?
暴挙を見られたクラスメートは笑いたいくらい動揺してるけど、如何せん笑える状況じゃない。
視線だけそちらを見て、西条の他にもう一人いることに初めて気付いた。
その驚いている顔も、その後に見せた悔いてるような顔も、今日だけで二回目だと、それしか思わなかった。
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