彼女

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  ……あ、また笑ってる。 俺の視線の先。 他の生徒の中に笑顔で交じる――――――花崎ユリ。 入学当初、一瞬で学校中が彼女の話題で持ちきりになった。 去年よりは落ち着いたけど、今でも変わらず人気者だ。 黒く艶やかな長い髪。 白い肌に薄ピンクの唇。 大きな目と茶色い瞳。 背は低めで、体つきはどちらかと言うと細い。 去年の休み時間、彼女のいる隣のクラスの廊下は、彼女を見に来る生徒達でいっぱいだった。 だけど、俺は興味がなかった。 どうせ顔だけで、性格は最悪だろうと思っていたから、見たいとも思わなかった。 だけど、それはまだ一度も花崎ユリを見たことがなかったから。 入学してから数ヶ月が経ったある日の昼休み。 俺はジュンと屋上にいた。
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