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引きずられるようにその場から離れていく俺。
後方では驚いた顔で俺を見送るジュンと、心配そうな顔をしているアキちゃん。
俺は手首に痛みを感じながら、屋上を後にした。
連れてこられたのは、普段使われることのない空き教室。
先に教室に入れられ、後から花崎ユリが入ってくる。
……ガチャ…
………………ガチャ?
扉を閉める音の後に聞こえた音。
…………カギ…閉めたのか?
俺が振り向くと、扉を背に立つ花崎ユリが、微笑んで俺を見ていた。
誰もいないカギのかかった教室。
人通りの少ない廊下。
目の前には花崎ユリ。
……………やばく……ないか?
俺を見る花崎ユリが、はぁっと深くため息を吐いた。
「……吉野くん…お願いがあるの。」
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