彼女

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  でも大切だから手も出せなくて……気持ちを伝えることすら出来ない。 苦しくて切ない恋をしてる。 「…あいつ…好きなやついるみたいなんだ。」 ジュンが小さく呟いた。 「お前?」 「まさか。違うから言ってんの。」 フッと笑い「あーあ」と声を漏らす。 「俺の勘なんだけどさ、たぶんお前――――」 「……付き合って下さいっ。」 「「は?」」 ジュンの言葉を遮るように、大きな声が屋上と言う広い空間に響いた。 俺たちは同時にガバッと起き上がり、辺りを見回す。 「おい、マコト…あれ…。」 そう言ってジュンが指す方を見ると……ちょうど入口の陰になっているところに人影が見えた。 「…誰だ…?」 男女が向かい合うように立っていて、男が少しうつ向いている。
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