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人込みの中、いつものように家に帰る途中、頭に痛みが走った。
「いったーい!」
私の声に驚いたのか、周りの何人かが立ち止まり、すぐに動きだした。
ただ、動かない人が1人…
「うわっ、ごめん!
今解くから…」
すれ違いざまに、この人の服のジッパーに、私の髪が絡んでしまったみたい。
「あの、ここだと邪魔になりますから、どっちかに渡りたいんですけど…」
私たちがいたのは、横断歩道のど真ん中。
明らかに、車の邪魔になってる。
「とりあえず、君の進んでた方向に、渡ろう…」
渡り終えると、再び絡んだ髪を解こうとする。
けど、髪は一向に解けない…
(仕方ないか…)
「ちょっとごめんなさい。」
私は、カバンを開けて、あるものを取り出す。
それは…
「カッター?
…って、まさか…」
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