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ぎしっ。
静雄は自宅のアパートのベランダに椅子を置くと、それに座った。
今日は休日。
しかも、かなり冷え込んできた近頃には珍しい、ぽかぽかと暖かい日だ。
雲1つ無い青空が、柔らかく温かい光を惜しげなく注ぐ。
晩秋なのに、布団を干そうと思えるくらいの晴れぐあいと暖かさ。
そうして布団を干していたら、あまりに日差しが気持ち良く
こうして椅子を持ち出して、日向ぼっこにする事にした静雄であった。
Tシャツに薄いカーディガン、はき古したジーンズに裸足でも、ちょうど良い。
(…あー、あったけー。
…きもちーなー…)
椅子に凭れかかり、力を抜く。
ホントに久しぶりに、ほんわかとした気持ち。
身体も心もほわほわとしていると、ガサッと音がした。
同時に聞こえる、耳慣れた音。
「ニャァ。」
小さな、少々高いその音…
いや声は、近所で飼われている猫だ。
飼われているといっても、首輪はしているのだが半ノラのように、よく外を歩いている。
「おっ、お前かー。」
このベランダにもちょくちょく来ているので、静雄も慣れたものだ。
それは静雄の足元に来ると、甘えるようにその身体を頭から擦り寄せる。
「うおっ、く、くすぐってー。
待てよ、腹へってんのかー?」
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