分娩室

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そこは一昔前にはありえなかった機械が並び、日本で最も発達している病院の一室である。 「頑張れ!頑張るんだ!美咲っ」 男はそう言って美咲――彼の妻である女の手を取り励ました。 「もう少しだぞ!頑張……」 それまで痛みに耐える妻とそれを見守る夫の声が充満していた室内に、新しい生命の産声が響き渡った。 「良く頑張ったな、美咲」 しかし、喜びを分かち合っている暇もなく……。 「さぁ赤ん坊をこっちに渡すんだ」 「顔くらい見せてください」 「そんな時間はない。これからこの赤ん坊には少し細工を施す」 白衣を着た謎の男と美咲が言い合っているうちにも赤ん坊は運ばれていく。 当然男も黙っているはずがなく。 「何故ですか!?何処に連れていくんです?」 「それはお前達の知る所ではない」 「私たちは親だ!この子の保護者なんだ!知る権利はあるはずだろう!」
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