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 おもむろに時計を見た母は、自分の作った料理を口に運びながら、僕に向かって言う。 「いいかげん、家に戻ってきて、もう数ヶ月経つんだから、そろそろ働いてもらわないと困るんだから。タケルは、そういうとこがルーズすぎるの」 「ああ。ちゃんとやるからさ。もう少しだけ待ってよ。仕事は探してるんだ。ハローワークにも行ってるし、ジョブサイトにも登録してる。不景気でも求人がないわけじゃない。だいじょうぶ」  僕がそう言うと、母はじっとりとした目を向ける。 「だいじょうぶって言ったって、大学も辞めちゃったようなあんたに、仕事があるのかしらね」  僕は負けじと反論する。箸を持つ手が少し、汗ばんできた。 「もう学歴社会の時代は終わる。スキルだよ、スキル。きっとどうにかなるから」 「あのね、最初の判断材料は履歴書で、そこに書かれてることが判断基準なの。中退は高卒。これは変わらない」
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