41 柏木 瑞穂

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『泣かないで。泣かないで瑞穂』 ……何処からか声が聞こえる。 その声はまるで私の全てを包みこんでしまう様に……優しく響いた。 『君を悲しませる全てのモノを僕が消してあげるから』 その声が聞こえた次の瞬間、激しい打音と共にお父さんの姿が消えた。 『……僕が守って見せる。世界中の全てから……必ず君を守って見せる』 ……目の前には赤い海が見える。 その赤い海の中央で溺れる様に、お父さんがピクピクと体を震わせていた。 『そう……もっと早くにこうすればよかったんだ』 また小さく声が聞こえ、どこからかクスクスと笑い声が聞こえる。 ……どこから? そんな事を考え、そっと自分の唇に触れた。 ……その笑い声は《自分》の口から聞こえていた。 私の唇が歪に吊り上がり、妖しい笑みを浮かべている。
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