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あぁ人がおおいなぁ この時間はいつも混むんだ 電車と電車のつなぎめのドアは妙に重かった 前の車両はこっちよりも空いてそうだった …あ…あれは 君とあの子は一緒に座っていた これが現実 二人はピンク色の空気を振り撒いていた 僕は二人の前を通り過ぎた 僕に君はきっと見えていないのだろう 一瞬だけ 一瞬だけどあの朝のようなおはようを期待した でも君からはバイバイも あの柔らかな笑顔も 向けられることはなかった 一人でなんだか悲しくなっちゃった 僕は一つ先のすごく混んだ車両の重たいドアをあけ その群衆にまぎれていった
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