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化粧は……
「……このタオル、使っていい?」
「どうぞ」
アイシャドーと濃いめにいれたチークを擦って落とした。
本当はクレンジング使いたかったよ……奥の洗面所でさ。こういうとこってアメニティーグッズ充実してんだろうなぁ……
ふ、と息をついて、キャラに入り込む。
イイトコのお嬢、イイトコのお嬢……
右手を軽く握り、口許に寄せる。
「あ……あの……私……ごめんなさい……」
ベッドの上で縮こまり、子犬のように震える。
男が感心したように、ほう、と呟いた。
「確かに、先程と全然雰囲気が違うな」
「……なろうと思えば、どんな奴にだってなるさ……衣装とメイク道具さえあればね」
口調を普段のものに戻せば、とん、とまたベッドに倒された。
「なにすんだよ!」
「気に入った」
「は?」
「君、オレの物にするから」
「はぁ?!」
スリットから手が入り込み、太股を撫でる。
「ちょっ……なにっ……」
抵抗しようとすれば、腕を押さえられ、唇を奪われた。
こいつ……キス上手過ぎるっ!
「ん……ふっ……」
うわぁ……ふわふわしてきたぁ……気持ちいい……
唇が離れ、男がニヤリと笑む。
「いい顔をするんだな」
「……オレ……男……だよ?」
そう、オレは男なのだ。
今は単に女装してるだけ。
「気付いていたさ。だが性別は問わない質だ。君は? 男との経験はないの?」
ない事はない。
こんなことする前は、ショタコンなお兄さんやおっさん相手にウリもやってたし。
でも何年も前だ。
「……ネコは……久しぶり……」
「オレの物になるなら、優しくしてあげよう」
「……いやだって……言ったら?」
「無理矢理犯して、一先ず監禁かな」
びくっ、とオレの体が震えた。
「無理矢理は……やだな……」
もち、監禁もごめんだ。
「じゃあ、オレのになりな。生活は保証するから」
「……解った……」
「いい子だ。ご褒美だよ」
「んっ……」
またキス。
あ~……もう……どうでもいいや。
そんな感じで、オレはそのまま快楽に流された。
これがオレ達の始まり。
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