触ってほしいよ

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セミの鳴き声の五月蝿い夏――――― 僕は、小野くんに誘われて バス停に居る。 何でも、夏の醍醐味 プールに行くんだとか......... 別に僕じゃなくていいのに。 そう小野くんに言ったところ、 『それじゃあ一緒に行く意味ないです!』 と、バッサリ切られてしまった。 別にプールは嫌いじゃない。 泳げない訳でも、溺れる訳でもないけど 小野くんと一緒、という そこにどうも引っ掛かってしまう← 「それにしても、小野くん遅い.... 暑いんだけど、マジで。」 真夏の真っ昼間から バス停に立っているんだ、 脳天は髪がこげるように熱い。 そうこう思っていると、 息を切らし汗を流した小野くんが、 僕のいるバス停に走って来るのが見えた。 相変わらず気持ち悪いな、ほんと。← 「神谷さーんっ、お待たせしましたー! さ、行きましょうか!」 汗を流しながらも 僕に手を差し出す小野くん。 繋がなかったら、また拗ねるのかな。 面倒くさいから繋いであげよう。 僕は無言で小野くんの手を掴み、 暑いのにも関わらず指を絡ませた。 迷惑だったかな、と思い チラリと小野くんを見上げて見ると、 ただ嬉しそうに笑いながら 僕の手を握り返してくれた。  
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