触ってほしいよ

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そんな嬉しそうな顔をされたら、 僕だって嬉しくなる。 単純だな、自分で時々そう思う。 偉そうなことを言うわりに、 小野くんに流されてるし........... 惚れた弱味は恐いよなぁ。 それから僕は、小野くんの話に 適当な相づちを打ちながら考えていた。 「神谷さん、着きましたねっ! よぉーし、泳ぐぞぃっ!」 「小野くん、気合い入れすぎ。 ハッキリ言えばキモチワルイからね」 徒歩40分のところにあるプールは すぐに到着した。 叫ぶ小野くんを他所に、 繋いでいた手を然り気無く離し 小野くんの前をスタスタ歩く。 僕の罵声を浴びた小野くんは テンションを一気に下げるも、 すぐに僕の元に駆け寄り手を握った。 『嬉しい』 不覚にも感じた感情。 「もぉー神谷さんは。 先に行かないでくださいよっ」 「....小野くん、やっぱり手離して。」 僕は小野くんを一旦スルーし、 手を離すように言った。 回りが見てくる、視線が痛い。 こんなの、完璧変だ。 そんな僕の気持ちを 知ってか知らずか、小野くんは即答で 「嫌です!」と 力一杯に答えた。 いや、離せよキモ野くん← 僕は小野くんを軽く睨んだ。 「離してってば。 人に見られてるだろ.......」 「そんなの関係ありませんよ。 俺は神谷さんと繋ぎたくて繋いでます。 神谷さんだって、俺と繋ぎたいから 離せって言いながら手を離さないんでしょ」 小野くんは僕を真っ直ぐ見つめ 自信満々に答えた―――――――――  
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