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小川付近にて…
エリル「…声はこっちからか…」
偶然にも、奴隷商人はエリルがいる川近くに来ていた。
ガシュ ボキュ ブチブチ!!
木の向こうからひたすら嫌な音がする。肉の千切れる音、骨が砕ける音…エリルはゆっくりと剣の持ち手を握りしめた。
「グルルルル…ォオーーン!!」
エリル「!!!!!!!!!」
気付かれた!?……違う。離れていく。…別の獲物がいるのか?
エリルは木の脇から身を乗り出し、何があったのかを確認した。
エリル「…グ…酷いな…」
そこには人であった゛物゛が散乱していた。
エリル「…どうせなら綺麗に処理してけよな…」
あれ?発想が違う?気にしない!!
エリル「…そんな場合じゃねぇな…多分、こいつの仲間かなんかが襲われてるな…面倒だけど、行くしかないかぁ…」
溜め息をつきながら、獣達が走って行った方向に走り出す。
「「「「キャァァァァァ!!」」」」
複数の女性の悲鳴が聞こえた。
エリル「…チ!!」
悲鳴を聞いて自然と足が早まった。
エルフ「ここか!!」
馬車に牢屋のような荷車がつけられており、その中に複数の女性が入れられていた。その周りには、さっきの人を喰い殺した獣達が囲んでいた。女性達はエリルが来た事に気付いていないようだ。
エリル「…いや、ムリっす。」
エリルは早々に諦めた。こっちは1人、向こうは10~15匹はいるだろう。勝ち目は無いのは目に見えている。
エリル「…はぁ…気分は悪いが、見捨てる他ないな。……ハァ」
エリルが現場に背を向け、ゆっくり離れようとしたその時、
「アナタは目の前の命を見捨てるのデスカ?」
エリル「!?!?!?」
突然聞こえた声に振り返る。
エリル「…誰もいない?……気のせいか…?」
再び歩き出そうとした瞬間、剣の真ん中にある緑色の透明な宝石が光り出す。
エリル「なんだ…これは!?」
エリルは焦っている。何がおこるか待つか、剣を捨てて逃げるか…だがエリルは前者を選んだ。
エリル「…文字が浮かんでくる?」
宝石の中に文字が浮かぶ
[Ω]
エリル「何なんだよ…」
「今一度問ウ…アナタは目の前の命を見捨てるのデスカ?」
再び声が聞こえた。頭に直接声が送られてくるみたいだ。さらに言うと、この奇妙な剣から。
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