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周りを見渡してみたが、当然の如く誰もいない。
エリル「…オレかぁ…」
最上級のため息を吐き出し、ガックリとうなだれる。
盗賊B「お゛?どうやらごうさんらしいだぁ♪」
エリル「…れは………だ」
ボソボソっと呟いたため、相手には聞こえなかったようだ。
盗賊A「あ~?聞こえねえぞ?おねだりならもっと大きな声でいいな!!♪」
プチ
あ、キレた
エリル「オレは女じゃねぇぇぇぇぇ!!!!」
ふぅ。力いっぱい叫んだ。
盗賊達は唖然としていたが、すぐにこうきりかえしてきた。
盗賊A「ち…男かよ……だが…」
盗賊B「…か…かわいかったら…い、いいんだな゛~♪」
あ~なるほど。そっちもありなのね。
エリル「…あちゃー…だが、ここで大人しくオレのケツは渡せねぇな?」
当然だがね!!
強気なエリルだが、あまり勝てる気がしなかった。何故か体が重く、動きがぎこちない。その現象に自分なりに結論をつけた。
エリル「……寝起き効果か!?」
………そこかよ!?
と自分の心の中でツっこんだ。
盗賊A「ゴチャゴチャうぜぇ!!黙ってオレらに犯られろ!!」
盗賊B「ぐへ、ぐへへ!!えへへへへ!!」
意外にも移動速度が速い。どうやら多少は戦いなれているようだ。腰帯に差していた手斧を片手に、距離を縮めてくる。
エリル「マジかよ!?クソッタレ!!」
さっき手に入れた剣らしき武器を鞘から引き抜いた。
盗賊A「なんだその剣は!!ハハ!!オレらの敵じゃねぇ!!」
盗賊達は遠慮なく斬りつけてくる。手斧と言えど、斧は斧。威力は伊達じゃなく、剣で防ぐのが精一杯だ。
エリル「てめぇら卑怯だな!?」
盗賊B「え゛へへ♪卑怯はだいずぎだぁ♪」
盗賊達の波状攻撃で押され気味のエリル。
あれ?そういやオレ……戦った事、あんの?
エリル「……こうなりゃ…あ!!あれはなんだ!?」
うん。実に古い手だ。かかるわけ…
盗賊A&B「「ぅえ!?」」
見事に引っ掛かりました。有り難うございます。
エリル「チャンス!!」
全力で森を走る。後ろは振り向かず、ただただ走る。
盗賊A「…なんもいねぇじゃ……あり?」
盗賊B「あでぇ~?いねぇだぁ~…」
盗賊達は呆気に取られて、しばらく動けなかった。
盗賊A「…クソ!!…仕方ねぇ。諦めるか…」
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