第一章

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 昼休みの過ごし方は人それぞれだと思う。俺は昼飯を食べた後は昼寝をするのが日課になっている。一番のお気に入りは、中庭の隅にある桜の巨木の下で寝る事だ。  その日もいつもと同じ様に昼寝をしていたら、急に誰かに見られている感覚があった。ゆっくりと目を開けと、そこには見知らぬ人がいて俺の事を見ていた。 簡単に言えば俺の学校の先生じゃない事は確かだ。入学して間もないから、先生の顔を全員把握してる訳じゃないけど。  背は目測で178㎝。深緑色の髪を無造作に後ろでポニーテールにしている。歳は大体20代後半。顔はそこそこ良いんじゃないか?それと縁が下半分の、こちらも髪と同じで深緑色の眼鏡をかけて、白衣を纏った胡散臭いお兄さんがいた。  俺は体を起こすと、取りあえずいつでも反撃出来る体勢をとった。剣道が専門だから、体術は自信がないけどな。こんな事ならそっちも習っとけば良かった。 「あの、誰ですか?」  胡散臭いお兄さんは俺の言葉を聞くと、不思議な物を見た様な表情をした。 「あれ?小生の事を知らない?という事はこの学園の生徒ではないのですね」  胡散臭いお兄さんは一人で納得してしまって、今度は俺が不思議そうな表情をしてしまった。
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