現実逃避

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ハートのネックレスが 鮮やかな赤色に光を放った。 「…う…ん……」 なんか、さっきまでとはずいぶん違う重い声が出た。 目を開けると 母親と弟が居た。 2人とも、泣きはらしたような目をしていた。 「…なぁに? …あんまりしつこく 呼ばないでよね…」 案外言葉はスラスラ綴れた。 ただ、たぶん心の中でだけ、だ。 何故ならアタシは 口に呼吸器のような物をつけていて、息をするので精一杯だったから。 ついでにここが病院で 自分がなぜここにいるのかも 知っている。 ついさっき、 ハートのネックレスが赤色に輝いた時に 全部思い出したから。 事故って 予測不可能なんだね。 それに、もう外は明るい。
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