泣く街

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「うるせぇ・・・」 男は煙草を吸いながら歩いていた。 そして周りには昼間だというのに喧騒騒ぎ。 この街は《CRY・CITY》。 犯罪率だったら国内一位。 この街には正義は存在しない。 存在するのは《欲望》と《金》。 (この街は汚い・・・。臭いし・・・) 男は煙草の灰を宙に舞わせ、歩いていた。 「おい」 「あ?」 話し掛けてきたのはホームレスだった。 「それ・・・くれよ」 ホームレスの男は煙草を指で示した。 「これ?」 「そうだ」 「やるよ」 男は笑顔でホームレスの眼球に煙草を押し当てた。 「うぎゃぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!!」 ホームレスはまるで死にかけの野良犬の様に地面を寝転んだ。 「あんた・・・死ねよ?」 「あぁ゛・・・」 ホームレスは喋れる様な状態では無かった。 「生きてても仕方ないもんな」 男はコートの下に隠した銃を眉間に突き付けた。 「じゃあな。来世で会おうぜ」 街に渇いた銃声が響いた。
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