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翌日、俺は学校をサボった。
学校に行っても、親衛隊に捕まるのがオチだ。正直、今日一日走りまわる体力はない。
そのかわり、俺はりゅうの住んでいるマンションに来ていた。
りゅうの部屋は、五階建てマンションの三階、左端。らしい。
マスターに聞いたから、間違いはないはずだ。
教えられた部屋に行ってみると、表札には平仮名で「あ や せ」と書かれていた。少し曲がってて、間が空いているのが、りゅうらしい。
俺は苦笑しつつ、インターホンを鳴らした。が、反応が無い。
留守なわけがないので、もう一度鳴らす。と、扉の向こうから、何かをどかしている音が聞こえた。続いて、扉が少しだけ開く。
「……どちら様ですか?」
開いた隙間から、りゅうの声が聞こえる。インターホンと覗き窓の意味が全くないような……。
「俺だよ。大た……」
「先輩?!」
名前を言いかけている俺の声を遮り、大きな声を上げるりゅう。吃驚して一拍心臓が止まった。そんな気がした。
りゅうは俺だと分かると、急いでチェーンロックを外す。扉が勢いよく開いたかと思ったら、りゅうと一緒に、黒い子猫が飛び込んできた。
「おお?!」
後ろに仰け反る俺。けれど、そんなのはお構いなしに、りゅうは俺の胸に、子猫は俺の顔に突撃してきた。
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