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翌日はちゃんと登校した。
一日休むだけで、親衛隊からの視線は一層鋭いものになっていたが、俺は気にしないことにした。
以前までは睨まれただけでビクついていた俺が、今は平然としている(ように見えるだけだ)ので、親衛隊達は嫌がらせの方法を変えてきた。
まず、俺がちょっと席を立った隙にノートを一冊盗る。で、次に席を立った時に、そのノートがズタズタに引き裂かれた状態で机の上に置かれる。教科書の端にカッターの刃が仕込まれている。徹底的に無視する。などなど。
一つ一つは意外と地味だが、それがねちねちと続くとかなり疲れる。カッターの刃では、危うくざっくり切ってしまうところだった。
そんな嫌がらせに加え、授業の合間や昼休みなどで、二、三人が俺の事を、憎いものを見るような目で追いかけてくるのだ。
親衛隊の方は何十人とメンバーがいて、交代で追いかけてくる。しかも、相手は二チームだ。
それに対して、こちらは一人。交代も無し。
不利だとは理解しているが、助けも呼べないし、助けてくれそうな人もいそうにない。だから俺は、上手いこと物陰に隠れながら親衛隊を撒くことにしたのだ。
この作戦は思ったより効果を発揮し、この日は上手く逃げることが出来た。
変化があったのは、麗の謹慎が解かれたその日だった。
いつものような嫌がらせを予想していた俺であったが、心なしか、嫌がらせの質が若干落ちた。更には、追ってくる親衛隊も一つ足りないことに気づく。何故か、麗の親衛隊が、俺への嫌がらせに混ざらなくなった。
どういうことか聞きに行こうかとも思ったが、麗と会うのは迷惑をかけるような気がして、躊躇われた。それに、遠目から麗の事を見かけた時、ばったりと目が合ったのだが、麗の方から視線を逸らした。どうやら、麗は俺と視線を合わせるのも嫌らしい。
仕方が無いので、りゅうの謹慎が解かれるまで待つことにした。
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