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「そうそ!そう言うことなら任せてよ!綾ちゃんの事は、俺らがきっちり見張っておくからさ。それにしても、実君の彼氏ってどんなの?かっこいいの?不良?チャラ男?あ、それとも俺様何様系生徒会長?いや、もしくは腹黒副会長?わんこ系もいいし、無口キャラもいいよね。あ、なんでこんなに詳しいかって言うとな、幼馴染にオタクがいるんだけど、その弟が腐男子でさ。王道小説は粗方読んだから。俺はオタクでも腐ってるわけでもないから、なんで男同士で萌えれるかは全く理解できないけど、中には切ない話とか甘い話とかもあって、俺はそっちの方が好きだなぁ」
「え、えーと……」
毎度のことながら、凪瀬さんは一体どこで息つぎしているんだろう。あと、凪瀬さんの話、半分も理解できないんですけど……。
俺が困惑していると、今日は眼鏡をかけている来栖さんが、凪瀬さんの襟を掴んで引っ張った。
「……お前の五月蠅くて訳分かんねェ話はいいんだよ。仕事するか、黙るか、もしくはこのまま冥土に行くか、好きなの選べ」
「あ、あの、ちょ、マジで、く、首締まっ!」
だんだん凪瀬さんの顔が、青から土色に変わっていく。そろそろ本当に気絶するだろうという一歩手前で、来栖さんは手を放した。
「げほっ、げほっ。さ、三途の川渡りかけた」
「黙れドМ。てめぇは這いつくばって床でも舐めてろ」
「俺Мじゃない!普通だよ、Nだよ、ノーマルだよう!!」
「ああ、あの二人は放っておいていいですから。それじゃあ、また明日」
「あ、また明日……」
営業時間だと言うのに、お客の前で激しい喧嘩をしている二人。それを笑顔でスル―するマスター。
俺は顔が引きつるのを感じつつ、Cloverを出た。
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