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カウンターでは、凪瀬さんや来栖さん、マスターが顔を出しており、それぞれの言葉で「お疲れ様」と声をかけてくれた。
俺が、「ありがとうございます」とそれぞれにお礼を言っている時、ふとりゅうがいないことに気づく。どこにいるのかと見渡してみると、りゅうはいつの間にやら店内のちょうど真ん中にいた。
何やら、ごそごそとやっているので、なんだなんだと視線がりゅうに集まる。りゅうは、店の裏から持ってきたであろう大きめの木箱に登ると、ピッと右手を上げた。
「りゅ「宣誓!」」
俺が名前を呼ぶ前に、大きな声で宣誓を始めるりゅう。いきなりの事に店内にいる人全員が驚いたが、黙ってりゅうの事を見守っていた。
「僕、綾瀬 龍一は、先輩である大谷 実さんのことが、世界で一番大好きです!」
……えっと、今なんと?
あれ~おかしいなぁ。なんか幻聴が聞こえる、訳ないか。
軽く頭の中がパニックになっている俺を置いて、りゅうは宣誓を続ける。
「僕は先輩の作った料理やデザートが好きです。お母さんみたいに世話を焼いてくれるところも好きです。僕に内緒で、僕の髪を弄りながら頭を撫でてくれるのも好きです。僕の我が儘に、笑って付き合ってくれるところも好きです。先輩の笑った顔が大好きです!!」
なんだろう。途中から凄く恥ずかしいんだけど。
というか、りゅう!髪を弄ったのって結構前ですよね?!その時りゅう寝てたんじゃないの?絶対寝てたんだとばっかり思ったから触ったのに!ああもう、昔の俺を抹消したい。
「けど、先輩には好きな人がいて、僕の事は眼中になくて、そういう対象にも見られてなくて。先輩達の問題に勝手に口を出して、迷惑をかけたこともありました」
「……」
「でも、それでも僕は、先輩のことが好きなんです。僕は、先輩のことを、一生涯愛し、守ることを誓います!」
りゅうが声高らかにそう宣言すると、今まで上げていた腕を下ろし、ピョンッと木箱から降りた。
そのまま俺に近づいてくるりゅう。俺の数歩前で立ち止まったりゅうは、真っすぐに俺の目を見つめた。
「先輩、絶対僕に惚れさせてやりますから、覚悟してて下さいね」
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