りゅうという人

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 とりあえず六つぐらい作って、冷蔵庫で冷やす。その間に夕飯とお弁当のおかずを作っていると、姉さんが帰宅した。 「ただいまー。今日の夕飯なーにー?」 「おかえりー。今日は麻婆豆腐」  姉さんは大学生で、帰りは俺より遅い。両親は共働きの為、必然的に食事の準備は俺の仕事になる。  けれど、一つ言っておく。毎日作っているからといって、料理が上手なんてことはない。いくらかマシになるくらいだ。現に姉さんは、俺の作った麻婆豆腐を食べて「まあまあ……」としか言わなかった。 「……文句あるなら、食べなくてもいいよ」 「えー。っていうか、文句言わせないように、美味しく作りなさいよね」  姉さんの言葉に、俺は何も言えなかった。  美味しくしろって言われても、どうすればいいか分からない。調味料を変えるのも、アレンジするのも抵抗がある俺。姉さんはそれを分かっているのか、このあと追い打ちをかけることはなかった。 「おかず作ってるの?あんた、まだ彼氏にお弁当作ってやってんの?」  姉さんは、俺が麗と付き合っていることを知っている。前に麗の写真を見せた時、「気にくわない」と言う程、麗の事を嫌っていた。 「今日向こうから断られた。今作ってるのは、後輩の分だよ」 「なんで後輩の分も、あんたがお弁当作ってんのよ」 「……なんか、俺の弁当の味が気に入ったらしいよ」  俺が答えると、姉さんは「ふーん」としか言わず、そのまま部屋に戻って行った。  だいたいのおかずを作り終え、明日の下ごしらえも完了したところで、俺は眠る為に部屋に戻った。
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