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屋上には、いつも通り誰もいなかった。
「ちょーっと待ってて下さいね。今シートとか出して来ますから」
シート?
りゅうの言っていることが、俺には分からなかった。
りゅうの後についていくと、そこには緑色のテントがあった。
「テント?!」
「?おかしいですかね」
なんて言うもんだから、俺は何も言えなくなってしまった。
りゅうの口ぶりから、このテントを置いたのはりゅうらしい。
りゅうはテントに入ると、ごそごそと何かを探しているようだった。
「……あ、ありましたー」
テントから出てきたりゅうは、シートとクーラーボックスを持っていた。
「ふう。なんとか発掘出来ました」
「発掘……」
もうツッコミどころが多すぎて、どこにツッコめばいいのやら。
りゅうはそんな俺の様子を気にせず、シートを敷いてさっさと座った。
「かもーん、です」
と、自分の隣をぽんぽんっと叩いて俺に知らせるりゅう。どうやら、俺に座れと言っているようだ。
「お、おじゃまします」
「どうぞどうぞ。あ、プリン下さい」
何をするのか分からなかったが、りゅうがプリンと言ったので差し出すと、脇に置いたクーラーボックスの蓋を開けた。
「とぅるるる~。クーラーボックス~」
いや、見なくても分かるけど……。とは言わなかったが、 まるでRPGで宝箱を開けた時のような効果音だったことには、ツッコむべきなんだろうか。
「やっぱり、プリンは冷やした方が美味しいですよね~」
なんて言いながら、中にプリンを入れていくりゅう。
中には保冷剤が入っているのかと思ったが、入っていたのは凍った何かだった。
「……何入れてるの?」
「これですか?保冷剤代わりのこんにゃくゼリーですよ。凍らせたことにより保冷剤の代わりになって、溶ければ普通にゼリーとして食べれる優れものです」
なんで保冷剤を入れないか。とは聞かない。たぶん答えは「だって、食べれた方がお得じゃないですか」だ。
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