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想像したら、知らず知らずのうちに笑ってしまっていたらしい。
それを見ていたりゅうが、また怒った。
「あー!信じてませんね。……分かりました。明日のお弁当は僕が作ります」
なんて言い出すもんだから、俺は驚きの声をあげた。
「大丈夫ですよ。僕、結構料理出来ますよ」
「いや、そういう問題じゃなくて……」
なんとなく、りゅうが作ると全部甘いような気がする。というか、お弁当全部がお菓子になりそうな気がする。
「何作りましょうかね~。先輩は何が食べたいですか~?」
「……大丈夫?指とか切らない?調味料とか間違えない?ボウルとか鍋とかひっくり返さない?」
何を作ってほしいという前に、りゅうが調理中に怪我をしないかが心配だ。まあ、俺みたいなやつが心配してもいいのか……。
「大丈夫です。これでも一人暮らし長いですから」
りゅうがさらっと言った、一人暮らしという言葉に俺は反応した。
りゅうはこの前高校生になったばかりで、バイトをするのだけでも大変だというのに一人暮らしまで。なにか家庭の事情でもあるのだろうか。
「……先輩、もしかして家庭の事情で一人暮らししてるとかって思ってません?」
俺の顔色を素早く読み取ったりゅうは、ズバッとそんなことを聞いてくる。俺はドキッとしてしまった。
「ごめん」
「やっぱり。ま、当たってますけどね。そこまでドロドロと……してないはずです」
また変な間だ。けど、りゅうの顔色が、だんだん青くなっていることが気になった。
「どうしたの?」
「……いや、ちょっと思い出したくないものを思い出しちゃって」
「思い出したくないこと?」
りゅうはこくりと頷き、理由を話してくれた。
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