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りゅうは先程から手を止めない。
弁当は結構な量があって、お茶も500mlのペットボトルで、プリン二個とコーヒーゼリー三個は確実に腹に入っている。
「……まだ食べるの?」
「はい。まだチョコとシュークリームとエクレアとヨーグルトムースとティラミスが残ってますもん」
甘いもののオンパレードだ。
「甘いもの、好きなんだね」
「はい。甘いものは大好きです。特に好きなのはプリンなんですけどね、作るといつも失敗しちゃうんです」
意外だ。りゅうって自分で作ろうとするんだ。
りゅうがキラキラした目で話してくれたし、俺にも分かる話題だったので、俺は聞いてみた。
「なんで?”す”が入るから?」
「いえ、分離するんです」
「え……」
「僕、マイペースすぎるのか、カラメルが固まっちゃって分離しちゃうんです」
「……」
「あと、蒸し器から出してすぐにつまみ食いしちゃいますし、最悪な場合原液で食べちゃいますし」
えっとえっとと、どんな失敗があったかを思い出そうとするりゅう。俺は思わず大声で笑ってしまった。
「くっ、あははははは!!普通そんな失敗しないよ。……よかったら、今度作ってこようか?」
俺がそう提案すると、りゅうは更に目を輝かせた。
「良いんですか?!また先輩の美味しい手料理が食べれるんですか?!!」
「あ、うん。まあ……。美味しかったの?」
「はい!とっても美味しくて、おかわり欲しかったです」
まだ食べるつもりなんだろうか。でも、美味しいと言ってくれたのは嬉しかった。麗は何も言ってくれないから……。
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