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二日酔いで動けなくなっている姉さんの為に、シジミの味噌汁でも作ってやろうかと台所に立つ。そんな俺に、姉さんは声をかけた。
「……今日はあたしが夕飯作るわよ」
「は?なんでいきなり」
二日酔いが酷い状態で、夕飯が作れるとは思えない。姉さんがこんな提案をするのは、何か理由があるのではないかと思い、聞いてみた。
「いや、あんた疲れてそうだしさ。とにかくあたしが作るわよ」
そう言うと、姉さんは俺から包丁をひったくった。そのままふらっと後ろに倒れそうになる。大丈夫かな……?
「あたしが作るんだから、あんたは部屋にでも行ってなさい」
頑として台所を譲らないという姉さん。俺は深々とため息を吐き、仕方ないので部屋に戻った。
机に鞄を置き、制服も脱がないままベッドに転がる。
姉さんがどういう考えで夕飯を作ると言ったのかは分からないが、姉さんが作ってくれたこの時間を無駄にしないことにした。
不器用な姉さんが、ちゃんとした夕飯を作るまでの長い時間、俺はじっくりとこれからの事を考えていた。
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