序章

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『ジェイコフ』 麗らかな春の日差しの中。 芝生に横たわる俺を誰かが覗きこむ。 『ジェイコフ。シスターが探してた』 『…関係ない』 逃げるように俺はごろりと転がり横を向く。 『…もう。またなにかいたずらしたのね』 声の主はかすかにため息をつく。 突然俺の目の前にどさりと人影が落ちてくる。 紫色の大きな瞳。 柔らかそうな金糸の髪。 彼女は横たわり俺をまっすぐ見つめる。 『帰ろ?ジェイ』 彼女の指が俺の頬を労るように触れた。
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