序章

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「ジェイ。 私たちの孤児院に行ったんですって?」 本をパラパラとめくりながらローズが問いかけてくる。 俺ははずしていた眼鏡をかけ直すと彼女の背中を見つめた。 「なぜ、それを?」 「Gにね。聞いたの。 …シスターは元気だった?」 俺は彼女の元に近づき横から本を取り上げる。 「あ」とローズが短く声を上げた。 「…元気だったよ」 俺はそれだけを呟くと本をすっと棚に戻した。 「…そう。 あの木はまだあるのかな…」 そう言うとローズは窓に近寄ると遠くをじっと見つめた。
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