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砂漠が広がる大地‥
所々に酸の海が姿を現す。
『ここも‥‥』
少々ボロついたフードを被り、白い四足の竜に乗った者‥
顔は見えず、分かるのは人間だという事だけだ。
『これで5ヵ所‥‥』
酸により枯れたのか‥
はたまた広がる砂漠に耐えきれず枯れたのか‥
視線の先には大人の腕より細く干からびた木が何本と倒れて砂に埋まっていた。
『緑が‥また消えた‥』
ポツリと呟くフードの者。
木々と一緒に死んだ獣の骨が深く心を抉った‥
ザァアァ‥と吹く風はむなしく枯れ葉と砂を拐っていく‥
主人の寂しげな声を聞き心配そうに見上げる白い竜‥
『心配してくれてるんだね‥
大丈夫だよ‥』
ポンポンと身体を叩き、撫でると安心して目を細める。
優しい子だ‥
そう思った。
『行こう‥
もうすぐ此処も砂で埋まる‥』
クイッ‥と綱を軽く引くと、その合図で竜は長くしなやかな足を上げ砂漠を走った‥
折れた枯れ木と獣の骨は砂に埋まり、寂しく存在を消した。
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