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車に乗れば、エンジンをかける。そこで少し思う。
人を殺す俺を見れば多少は怖がるだろうと思っていた…。だが、まったくと言うぐらいに笑顔で、それほど父が憎かったんだろうか?と思う。
まぁ何にしろ、枕が2つあったのも、車の中に毛布があるのも、全て、もし子供の父を殺したときを予想してだ。
後ろの子供を見れば、枕に頭を乗せ、毛布にくるまっていた。
車で住み続けるのは限度があるから、新しい家をまた買わないとな。
あそこのアパートは壊してやる…。そうすれば、それと一緒にあの子供の父も、埋もれて殺されたことさえ知られずに終わるだろうな。
まぁ、まずはあいつに電話だな…。
「ねぇ、お兄さん…」
「起きてたのか」
「うん、今更だけど僕の名前ね…ないんだ」
「ない…?」
「うん、僕が生まれてから母が浮気してたことが父にバレて離婚したらしくって…それで名前を決められることなく、父は死なない程度に僕を叩いてた。僕、闇医者って人が取り出してくれたんだって…だから、病院ってとこで生まれたわけじゃないみたいなんだ」
「そうか…」
名前さえもつけてもらえなかったのか…。
「だからね、お兄さんに名前つけてほしいの」
「そうだな…。お前は、どういったのがいいんだ?」
「お兄さんの名前は何?」
「本当の名前なんて忘れたが、裏でのコードネームは酷心だな」
「こくしん?」
「感情で動こうとしないと言うところから酷い心の持ち主としてつけられたらしい」
「お兄さんは優しいのに…」
「お前だけだ。計画もなしに人を殺したのは初めてだからな…」
「…っ僕お兄さんを支えれる人になりたい!だからお兄さんを守れるような名前がいい」
「俺を守るか…。決めた…お前の名前は与守鴉だ」
「よしゅあ…?」
「俺は酷心とも呼ばれているが、中には黒心…黒ずんだ闇に染まった心と言うやつもいる。だから俺のその黒さから守ることで黒ずんだ部分を吸いとってくれる鴉であり、光を与えてくれる存在だ」
「なんか難しいけど、お兄さんのための名前なら与守鴉でいいよ!」
「じゃ、与守鴉そろそろ寝ろ。俺は人気のない場所に車を移動しておく」
「うん」
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