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目が覚めれば車の中、あの嫌な匂いも大嫌いな父も見ることはない。
昨日のは夢じゃないって思うことができる
「ん…起きたか、与守鴉」
「おはよう、お兄さん」
一番最初に大好きなお兄さんを見ることができた。それに、僕はこれから与守鴉として生きていけるんだ。
お兄さんを名前で呼びたいけど、酷心なんてお兄さんに酷いことを言ってるみたいで嫌だ。
だから、せめてお兄さんと今までどおりに呼ぶんだ。
「よく寝れたか?」
「うん…あの、家探すの?」
「当分旅館か、ホテルだ。それか車だな」
「今日は?」
「お前の服を買いに行くぞ、そんな服嫌だろ?それに、あまり目立たない服を着てもらいたい」
「なんで?」
「昨日見た通り俺は殺人者だから、警察の方にバレれば捕まるどころか死刑だろう」
「しけ…い?」
「死ぬってことだ」
「い、いやだ!」
「じゃあ、わかったな?」
「うん」
お兄さんが死ぬなんてやだ…。僕が大人しくしていれば、お兄さんが捕まることなんてないんだ。
それに僕が強くなればお兄さんを守れる…。
「お兄さん、僕強くなりたい」
「心配するな、大丈夫だ。俺が守ってやるから…それにそう簡単に捕まらねぇよ」
「違……っ僕はお兄さんを!」
「小さい子供が無理をするな…。お前はただ俺の傍にいるだけでいい」
「うん…」
やっぱり僕はどうしようもないのかな?子供じゃなかったらお兄さんを…。
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