第一章 夢

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「………で、なんであんたはそんなに強くなりたいの?」 目の前の赤髪ミニツイン少女、ニア=サーチェスは白い着物を着て、ジトー…っ、と値踏みするような眼で見てくる。 「強くないと、守りたい者を守れないからだ」 コトン。 庭園の水瓶の淵をたたく、竹の乾いた音が大きく聞こえた。 ここは第1航空基地の応接室。 洋式の造りも有るらしいが、俺を試すため、ニアがわざわざ正座しなければならない和式を選んだのだ。 こうなったのは、俺自身が言ったことだ。 着陸したイーグルはエンジン部の足だけを下ろし、不恰好な姿を晒していた。 コックピットのハッチを開き、下ろしたワイヤーを伝い降りた。 「無様だな。大学一番さん」 気付くと、正面にニアがいた。 メットを外し、彼女を直視する。 彼女は白い耐Gスーツを着ていて、そのぴったりとしたスーツに目のやり場に困る。 「強くなりたい」 「………ついてきな」 彼女はカツカツと一人歩きだした。 それに俺は着いていった。
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