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「いろいろ明け透けだね。あんたオモシロイね」
小馬鹿にされた気がするのは、気のせいか。
それよりこの女、ニア=サーチェスは基地に顔パス。おまけに凄腕のパイロット。
一体こいつは何者なんだ?
「まぁ、いいわ。訓練は明日からとして、今日は私のところに来なさい。危箱さんの息子とやらを、ちょっぴり知りたくなっちゃった」
「………はぁ?」
前のめりになり、正座を崩してしまう。
と、はからずもニアに詰め寄る態になり、彼女との顔と顔との距離は異常に近づく。
「とにかく私の家にこい。ちょっと、あんたの神経いじってみたいし」
ニィ。
そんな効果音が似合う音がような不適な笑いを、彼女は方頬に浮かべる。
それは妖艶で、いたずらな瞳で、そして、悪魔を連想させた。
応接室の端。
ひっそりと付けられたデジタル時計は午後三時を表示している。
カコン。
また、竹が水瓶の淵をたたく音が響く。
「17○○。南條市木亜区東30-2にこい。ここからなら、リニア線で30分とかからない」
「は!?あ、おい!」
「またね」
ニアは立ち上がり、そそくさと去っていく。
俺は足が痺れ、立つことすら出来なかった。
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