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大学のパイロット養成学科のロッカールームに戻り、耐Gスーツを脱ぎ捨て、ロッカールームから出る。
私服に着替えたが、Tシャツとジーパンだ。
にしても貧相だな。自分。
ホント、笑っちまう。
家に帰ろう。それから行こう。
そして家に帰る。
家は父が10年前、購入した一戸建ての洋風の家だ。
この家に入ったとき、母さんはもういなかった。
その代わり……、と言ったら彼女は嫌な思いをするだろうが、新しい家と一緒に俺には妹が出来た。
入ると、玄関に陽が立ち、俺を出迎えてくれた。
「お帰り!望君。今晩何にする?」
「ごめん。ちょっと出かけるから、帰り遅くなる。…ごめん」
そう言うと、彼女は悲しそうにうつむいた。
「いや、いいよ。望君もお年頃だもんね」
彼女は気丈に笑って見せた。
「違うって。じゃ、着替えたらすぐ出るから」
「……うん。わかった」
彼女の目は恋する少女の目だと気付いてから、もう10年が経った。
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