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中にはいると、だだっ広いホールに何人もの執事や、侍女が一列に並び、頭を下げた。
「改めて、いらっしゃいませ。危箱望様」
ニアは一変してしおらしく、屋敷の迎える側として俺を迎えた。
別人かと思うほどに。
会って半日と経っていないのに、なぜか彼女の家での立ち位置がわかった気がした。
「お爺様のところへご案内します」
彼女は一礼後、右手を軽く上げ着いてくるよう促す。
場違いな気分になったのは言うまでもない。
「うちの孫が殊勝なことを……」
点々てんの後に(笑)が付きそうなほど満面の笑みで、ニアの祖父は笑う。
その祖父は、本来なら俺がこんなに近くで会話することすらままらないような、偉人である。
「いやはや。儂が設計したKFのイーグルをよくぞここまで使いこなしてくれているな。さすがニアが見込んだだけある」
この人は、KFの考案者であり基礎原理。及び、設計した元防衛省技術研究室外部オブザーバー、ギリアス=サーチェスである。
彼もまた、真っ赤な短髪である。
「いえ。この地球が生き残るためには優秀な人材が、必要不可欠でありますから」
ニアは祖父にうやうやしく一礼する。
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