第一章 夢

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彼女は籠の鳥なのかもしれない。 家では蝶よ花よと育てられ、外でそのストレスを晴らす。 典型的な籠の鳥だ。 そう思うと心の芯がぐらりと揺らぐ。 言い様のない、昂揚感が体を巡る。 もしかしたら、これは―――。 ギュゥゥウ!!!! 後ろから二の腕を摘まれ、思わずおののく。 「ぃっ……て!!」 悶絶するが、ギリアスさんは気付かなかったようで、真っ赤で揉み上げにつながる髭を撫でる。 撫でながら、質問してきた。 父のことだ。 「ところで、君のお父さんは『銀河』艦長、危箱光さんだったね。君はお父さんのことをどう思っている?ちなみに儂は尊敬しているが」 「父は偉大であり、尊敬しております」 至極最もな解答する。 父が世界連合艦隊旗艦『銀河』の艦長になった日から身に付けた、俺の当たり障りのない解答だ。 「本音はどうなんだい?それが君の本音ではないはずだ」 全てを見透かされていた。 サーチェス家は人の心を読み取る力があるらしい。 「本音は今、申し上げたことです」 嘘だ。 心が悲鳴を上げる。 父へはそんなに思い入れがない。
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