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彼女は籠の鳥なのかもしれない。
家では蝶よ花よと育てられ、外でそのストレスを晴らす。
典型的な籠の鳥だ。
そう思うと心の芯がぐらりと揺らぐ。
言い様のない、昂揚感が体を巡る。
もしかしたら、これは―――。
ギュゥゥウ!!!!
後ろから二の腕を摘まれ、思わずおののく。
「ぃっ……て!!」
悶絶するが、ギリアスさんは気付かなかったようで、真っ赤で揉み上げにつながる髭を撫でる。
撫でながら、質問してきた。
父のことだ。
「ところで、君のお父さんは『銀河』艦長、危箱光さんだったね。君はお父さんのことをどう思っている?ちなみに儂は尊敬しているが」
「父は偉大であり、尊敬しております」
至極最もな解答する。
父が世界連合艦隊旗艦『銀河』の艦長になった日から身に付けた、俺の当たり障りのない解答だ。
「本音はどうなんだい?それが君の本音ではないはずだ」
全てを見透かされていた。
サーチェス家は人の心を読み取る力があるらしい。
「本音は今、申し上げたことです」
嘘だ。
心が悲鳴を上げる。
父へはそんなに思い入れがない。
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