第一章 夢

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水素ラムジェットエンジンは今日も機嫌が良く、ラダーペダルを踏み込むだけでスムーズに加速した。 日本四国州航空大学のパイロット養成学科に俺はいる。 俺は四回生。 あと半年足らずで卒業し、すぐにこの国際連合防衛第1航空基地に配属される事が決定している。 だから実戦訓練。 誰も俺の後を着く前に、落ちる。 あまりにも単調過ぎて。 あまりにも平凡で。 死にそうだ。 戦艦大和が坊の岬沖に没して200年を超え、その戦艦大和を海底から引き揚げ、宇宙戦艦に仕立てなおす、『大和再生作戦』が発動され、文献に残る今でも形を留め改装が可能な沈没艦が、次々と宇宙戦艦になっている。 そのニュースがひっきりなしにテレビ画面を覆い尽くし、未だに前線の情報がない。 火星よりはるか彼方。 天の川銀河の手前、YH-210、XH-12座標で宇宙戦争は勃発しているのだ。
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