第一章 夢

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昼が過ぎ、陽が駈けていく。 「またね!望君!」 手を振りながら、彼女は看護科の棟に入っていく。 彼女は看護科学生だ。 KF-15.ver36汎用イーグルにのり最終チェックする。 大量スイッチのなか、エンジンスイッチをONにする。 小さな命がイーグルに宿り、エンジン音という鼓動が徐々に強まる。 今からはマジの軍人と戦闘を開始するのだ。 「こちらイーグル・アイ(鷲の眼)。離陸要請せり」 『若いの、気をつけて操縦しろよ?カウント開始する』 管制官のおっちゃんのジョークに付き合わず、ただカウント終了を待った。 『…3、…2、…1、GO!』 ラダーペダルを踏み込み、スロットルを徐々に上げ、操縦桿を手前に引く。 フワリと、機体は見た目とは裏腹に軽々と浮かび上がった。 「テイクオフ」 この軽い離陸も一重に、カーボン(炭素)装甲のお陰である。 カーボン装甲は硬度レベル9、最高耐熱4209度、最高耐冷-220度の超硬度、超耐久性であり、鉄の七分の1の重量だ。 さらに、鉄の三分の1の値段だ。 ……だれに説明してんだ。俺…。
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