栞の憂鬱

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「本当に~!?」 わぁい!ありがとう~って、めちゃめちゃ笑顔でお礼を言ったと思えば、そんな自分を現金なヤツって今度は反省して……。 自分でも気付かない間にコロコロと表情を変えてたみたいで、しょんぼり肩を落としていると、まぁちゃんのクスクスと笑う声が聞こえる。 顔を上げると、あたしを見ているまぁちゃんと目が合い――― 「栞といたら、飽きないよ」 いつも吊り上げてる目元を緩め、ニッコリ笑っているではないか―――ッ!! し、しかも、栞って名前を呼んでる!? あたしは驚き、まぁちゃんに見入っていると、まぁちゃんはしつこい位の視線に気付き、ハッと真顔になると、すぐにヤバイ!と顔を押さえた。 「あ、あんまし見つめんな!」 そう言うまぁちゃんの顔が、真っ赤になっていることに気付いた。 こんなまぁちゃん、初めて見た……。 何故か、つられてあたしまで真っ赤になる。 「ばっ、お前まで赤くなってどうすんだよ」 視線を逸らすまぁちゃん。 そんなまぁちゃんに、あたしはとんでもないことを思ってしまった! か、……可愛い! でもこんなこと、死んでも本人には言えない。 絶対、殺される! まぁちゃんは気を逸らすようにして、ジュースを口に持っていった。 「お前も早く食えよ。食わないなら食っちまうぞ?」 「あ、いただきます」 慌ててフォークを持ち、ケーキを一切れ口に入れる。 大好きな甘いデザート。 だけど緊張と動揺で、味なんて一つもわからない。 『お前も早く食えよ。食わないなら食っちまうぞ?』 あたしはケーキを口に持って行きながら、まぁちゃんが発した言葉を心の中で繰り返す。 つんけんした、いつもと変わらない言葉だけど、そんなに怖くなかった。 さっきの…… まぁちゃんの笑顔が優しかったから?  
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